※ネタばれあり感想「ガラ」
- Seo Ann
- 2019年4月2日
- 読了時間: 3分
しゃしゃさんの「ガラ」、読了しました。
ネタバレありなので未読の方は要注意です。
もともとしゃしゃさんのことは「蒼き太陽の詩」で知り、しゃしゃさん=あおたい、みたいなイメージが私の中であって。この本を手に取ったはじめのきっかけは、「中東風ではないしゃしゃさんのお話が読んでみたいなあ……できれば紙で」、みたいなざっくりした気持ちでBOOTHをふらりと見に行ったことでした。
数ある作品の中で、ふと「ガラ」が目にとまりました。
あらすじ……おもしろそうだなあ。厚さ……おや、手に取りやすい厚さだなあ。
そんな気軽な気持ちで手に取らせていただいたので、す が……、……!
文庫本。120ページ。……120ページ??????
薄めの文庫本だと思っていましたが、読んでみたら厚い本で殴られたような感覚でした……。
しゃしゃさんの描写は容赦なく、しかし真っ直ぐに、幸福なことも凄惨なことも、物語の中の出来事を私の心に届けてくれました。
グレーテの過去を語る場面はつらかった……。グレーテかわいそう……。でもゲオルクの誠実さとガラの天真爛漫さのおかげで、物語が進むにつれ、氷のようだった心が少しずつ溶けていくのがとてもよかったです。
ていうかゲオルクさんイケメンすぎるでしょ……!私もあんな夫欲しいわ……←
超絶余談ですが読んでる途中に、「ガラ」は完全に私の好みを突いているということに気が付いてしまってですね……。
悩める年上(グレーテ)+元気な年下(ガラ)……、……っ!!
よくBOOTHで「ガラ」を選んだ私っ……!!
(いやたぶん作者様の狙いは全然そこじゃないと思いますけど。あくまで私の好みの要素が入っていたというだけです)
ガラの子供が生まれて、グレーテと慈しみながら育て、ゲオルクの告白もあり……幸せそうなグレーテでしたが、物語のラストに向かって不穏な空気が流れ始め……。
ヤルガヴァ族への容赦のなさが、グレーテ自身に帰ってくるのは、読んでいてはらはらしました。でも、ヤルガヴァ族が出した条件を、毅然として受け入れようとするグレーテ……。グレーテって自分を粗末に扱いがち(に私には見えた)だけど、それをガラが許さずで。
ああ、グレーテはガラと出会えて、自分を大切に思ってくれて、それを真っ直ぐ伝えてくれる子に出会えてよかったなあ……って、思っていたら、屋 上 で 、……!!
うるっと来てしまいました。悲しすぎて……。グレーテと、ガラと、ゲオルクと。幸せな三角関係が続けばいいのにと願わずにはいられませんでした。
しかし物語は絶望のままに終わるのではなく、最後にグレーテのほうからゲオルクに歩み寄ったのが良かったです。きっとガラは喜んでくれるだろうなあ……。グレーテには幸せになってほしいですね……!苦みと切なさのあるラブストーリーでした……。
はじめは、どうして題名が主人公ではない「ガラ」なのかな、と思っていました。
グレーテ視点の物語でしたが、ガラがいなくてはグレーテの物語も始まらない。このお話の核をなしていたのはガラだったように思えました。
だから、「ガラ」だったのかなあ……? 私の個人的な感想ですが!
夢中になって読んでしまいました。手に取ってから読むまでに時間がかかってしまったのが悔やまれます。もっと早く読めばよかった……。
楽しい時間をありがとうございました!
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